社内でWEBシステムをすべて開発し、運用保守まで一貫して行うことは、かなりハードルが高いです。
開発・運用・保守それぞれの専門知識を持った人員を見つける必要がある上、労力も時間も費用もかかってしまいます。

事業で本格的にWEBシステムを開発するのであれば、自社よりスキルのある外注先に任せてしまった方が安心できます。
ただ、外注先の会社によっても開発できるWEBシステムのクオリティや搭載できる機能、開発費用などが異なるため、どこが自社の希望に沿ったWEBシステムを作ってくれるのかわからないですよね。

そこで本記事では、WEB開発を依頼する際のポイントや注意すべきこと、自社に合った依頼先の選び方を解説します。
やみくもに依頼先を選んでも、成果物が思っているものとかけ離れていたり、開発や運用時に会社間でトラブルが発生する可能性もあるため、必ず理解しておきましょう。

WEB開発を依頼するときのポイントは?

web開発 依頼

まずWEB開発を依頼する前に、以下の3つのポイントを理解しておきましょう。

・発注前に目的を明確にしておく
・要望をまとめてから見積もり相談する
・進捗確認方法は事前に確認しておく

この3つを意識することで、各工程をスムーズに進めることができます。

発注前に目的を明確にしておく

WEB開発においての受注者と発注者で構想が違う場合、成果物が思っていたものと違う場合があります。
この原因は、発注者が具体的な成果物のイメージを共有できていないことで発生します。

WEBシステム上では、たくさんの機能によって目的を達成できますが、希望のWEBシステムの目的を明確に定義していないといけません
発注者と受注者の間に少しでもずれがあると、システムの内容が変わってしまいます。

前もってWEBシステムのイメージをしておかないと、依頼するときに具体的な相談もできません。
イメージ通りのWEBシステムを構築できるように目的をイメージし、発注者側がしっかり事前準備ができるようにしましょう。

以下にWEB開発の目的の例を載せておきます。
・社内業務の効率化
・新規事業用のシステム開発
・社内資料の一元化

要望をまとめてから見積もり相談する

WEBシステムの開発では、当初考えていたよりも開発費が増えてしまうことが多々あります。
予算の状況によっては、開発費が増えることで、開発を断念しなくてはならないことにもなり得ます。

予算が限られているのであれば、開発が難しい機能を依頼しないようにしましょう。
発注者の予算が少ないと、受注者は既存のプラットフォームでシステムを構築しようとするため、機能やデザインの自由度が少なく、希望のシステム実現が難しくなります。

予算に余裕があったとしても、油断してはいけません。
受注者側に無駄に使われる可能性があるため、機能に見合った費用を提示しましょう。

特に、WEB開発のすべてを行ってもらう「フルスクラッチ」は高額のため、すり合わせがうまくできていないと、開発費を別途請求されるリスクもあります。
事前に依頼内容を固めておき、どのような依頼をするのかしっかり決めてから見積もりを取得しましょう。

進捗確認方法は事前に確認しておく

WEBシステムの開発方式によって、進捗の区切り方が違ってきます。
開発方式は主に以下の4つになりますが、どの方式を選ぶにしても開発開始する前段階で進捗確認方法を確認しておきましょう

①スパイラルモデル
②プロトタイプ開発・MVP開発
③アジャイル方式
④ウォーターフォール方式

開発進捗を管理することは、依頼する上でとても重要です。
都度進捗確認しておけば、予定納期に遅れるのか予測が立てられます

また、開発段階で修正に素早く対応できたり、事前に要件定義とずれがないかを確認できます。
要件定義とは、開発の前段階で開発者の視点から要望をまとめ、具体的な進め方を決定することです。

WEB開発の依頼先を探すときのポイントは?

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WEB開発の依頼先を探す際、気をつけるべきポイントがあります。
依頼する際に失敗しないためには、以下のポイントを必ずおさえておきましょう。

・過去の事例を参考にする
・見積もりは複数社から取得する

過去の事例を参考にする

WEB開発会社によって得意分野は異なります。
独自のシステムや使いやすさなどが違うため、他の会社がどのような依頼をしているのか確認してから依頼しましょう。

過去の事例はホームページに掲載している場合が多いため、確認してみてください。
他にも、InstagramやFacebookなどのSNSやYouTubeでも情報発信している企業もあります。

もし自社が依頼したい内容とマッチした開発会社を早く見つけたいのであれば、マッチングサイトがおすすめです。
社内に外注ノウハウが全くない企業であっても、簡単に効率的に開発会社を探せます。

マッチングサイトによっても異なりますが、以下のようなメリットがあります。

・希望の条件に合う開発会社がそろっている
・発注者側の希望に応じて、最適な開発会社を選んでくれる
・相談があれば、経験豊富なスタッフがサポートしてくれる

見積もりは複数社から取得する

相場を知るためにも、複数社から見積もりを取ることが大切です。
適切な相場を知らないと、気づかないうちに相場以上の無駄な費用をかけてしまっている場合もあります。

また、自社と最も合う開発会社を見つけるため、いくつかの会社から見積もりを取ってサービス内容を比較することも重要です。

1社だけでは、合う合わないを判断することはできません。
複数社で比較検討し、費用やサービス内容から最も優秀な会社に依頼しましょう。

たとえ1社目で希望通りの費用でWEBシステムが開発できると言われても、他の会社では同じレベルでより安く開発してもらえた可能性も多くあります。
無駄な費用をなくし、希望通りのWEBシステムが開発してもらえるように、見積もりはしっかり行ってください。

WEB開発にかかる費用はいくら?

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WEB開発にかかる費用は、WEBシステムごとに異なります
同じWEBシステムでも中小企業や大企業など、どの規模の会社に依頼するのかでも費用に差があります。

さらに、納期を早くしてもらったり、対応するOSを増やすなど、依頼する条件によっても費用は違ってきます。
そのため、予算を考えながら、しっかり話し合って開発会社を選定しましょう。

ここでは、代表的な以下3つのシステム開発費用を解説します。

・動画配信プラットフォーム
・マッチングシステム
・社内システム

動画配信プラットフォームを開発する場合

動画配信プラットフォームの開発にかかる平均費用は、200万円〜300万円程度になります。

費用の内訳としては、主に「システム構築費用」と「ストリーミング配信費用」です。

システム構築とは、サイトを利用するために必要な機能を制作することです。
デザインや操作性に関わる部分になります。

ストリーミング配信とは、動画ファイルなどのデータを小さく分けて、受信した分から順次再生していきます。
再生開始が早かったり、端末にデータが残らないといった特徴があります。

また、開発費用だけでなく、運用費用として5万円〜10万円程度かかるケースがあります。

マッチングシステムを開発する場合

マッチングシステムの開発にかかる平均費用は、300万円〜1,500万円程度になります。

費用の幅が大きい理由は、マッチングシステムと言ってもジャンルが幅広いためです。
簡単な機能だけあれば運用可能なサイトもあれば、より高度な機能が必要なサイトもあります。

稼働に良質なシステムを構築するためには、エンジニアを雇用する費用として、毎月100万円程度はかかります。
スキルの低いエンジニアでもシステム開発はできますが、運用してからバグが多く発生する場合も多々あるため、ゼロからシステム開発する際は優秀なエンジニアの方が安心です。

社内システムを開発する場合

相場は構築するシステムによって異なります
社内システムの開発方法としては、主に以下の3つです。

①自作の管理システム
自作で社内システムを開発する場合、サーバーやデータベース構築費用を除くと、費用はほぼかかりません
開発をすべて社内で完結できるため、社員の意見を反映させたシステムを制作できるのもメリットの1つです。

ただ、バグの修正や運用保守なども自社で対応する必要があるため、人員のリソースが割かれてしまい、本業に影響する場合があります。

②パッケージ構築
システム構築用のパッケージで社内システムを開発する場合、比較的低価格で開発可能です。
ただ、必要な機能がパッケージにはなく、機能をカスタマイズする場合は追加コストがかかります

注意点として、豊富な機能があるパッケージが良いというわけではないです。
自社では必要ない機能が多いと、複雑なシステムが残り、逆に運用しづらくなってしまいます。

③オリジナルシステム構築
自社のオリジナルシステムを開発会社に構築してもらう場合、自由度が高く、社内の業務に最適なシステムが開発できます

ただ、ゼロから構築する場合は高額の費用がかかります
一部のみパッケージ化したものであれば、コストを抑えられるため、検討してみると良いです。

▶︎他のWEBシステムを知りたい方は、こちらから。

WEB開発を依頼するメリットは?

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WEB開発を依頼することで、次のメリットが得られます。
他のシステムに比べ、特に優れている点です。

・管理がしやすくなる
・段階的に利用範囲を広げやすい

管理がしやすくなる

システムの管理やメンテナンスなどを行いやすくなるのがメリットの1つ目です。
システム管理はクライアントに依存しないため、メンテナンスやアップデートがしやすくなります。

クラウドサーバーシステムの場合、システム管理にアプリケーションも含むため、更新作業はすべての端末で必要となり、作業量はかなり多いです。
接続する端末が増えれば増えるほど、管理コストも負担もかかります。

しかし、WEBシステムではシステム管理をサーバーで集中して行うため、運用コストをおさえることができます。

段階的に利用範囲を広げやすい

WEBシステムによって、段階的に利用範囲を広げやすくなります

WEBシステムはブラウザを利用できる端末であれば、どんなものでも使用可能です。
最初は社内で実験的に利用し、システムの使い勝手が良いと判断してから本格的に導入できるため、最終的には社内全体でシステムを利用できます。

さらに、ネット環境さえあればいつどこにいても利用できるため、時間と場所を問わずに利用可能です。
クライアントサーバーシステムの場合、専用アプリが必要になり、利用環境が限られてしまいます。

▶︎WEB開発を外注するメリットを詳しく知る。

WEB開発を依頼する前に知っておきたいシステムの種類

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WEB開発を依頼する場合、依頼形態によって「受託型」と「常駐型」の2種類に分かれます。
依頼形態によって、メリット・デメリットが異なるため、それぞれの特徴を知っておきましょう。

受託型

受託型とは、企画から設計、開発、納品まですべて依頼先の会社に任せる依頼形態です。

依頼先の会社ですべてのプロジェクトが進められるため、プロジェクトの規模が大きいほど、割く人員も増加します。
そのため、規模の大きいプロジェクトを依頼する場合、大人数を統率できる能力が依頼先の会社にはあるかどうかを見定めましょう。

ただ、システム開発後も、システム運用でエラーが発生すると人員を割く必要があるため、自社の負担が大きくなる可能性もあります。

常駐型

常駐型とは、派遣という形で自社で業務を行ってもらう依頼形態です。

複数人のシステムエンジニアが派遣され、WEB開発を行っていくケースが多いです。
ただシステムエンジニアがすでに社内にいる場合は、それを補完する形で派遣されることもあります。

常駐型の場合、プロジェクトはすべて自社で取り仕切るため、他の会社とのトラブルが発生しづらいです。
もし何らかのトラブルが発生したとしても、素早く対応できます

システムエンジニアを派遣する予算があるなら、受託型より常駐型の方がメリットは大きいです。

WEB開発を依頼するときの注意点

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WEB開発を依頼する際、注意すべきことは3つ。
依頼前、開発中、開発後、それぞれの段階で注意しないといけないことが1つずつあります。

・優先事項は明確にしておく(依頼前)
・進捗確認はこまめに行う(開発中)
・不具合に素早く対応できるか?(開発後)

3つそれぞれ詳しく解説していきます。

優先事項は明確にしておく

WEB開発を依頼する前に、予算やクオリティなどの自社が譲れない部分ははっきりさせておきましょう。
自社の優先事項を決め、依頼先の会社を選ぶ基準を明確にしないと、自社の要望とは異なるWEBシステムが出来上がってしまう可能性があります。

たとえば、短い納期で完成させたい場合、チームで対応してくれるシステム開発代行会社が良いでしょう。
開発費用を抑えたい場合、フリーランスのシステムエンジニアに依頼することを検討してみるのもありです。

自社の望むことをすべて叶えてくれる会社は数少ないです。
満足のいくWEBシステムを開発したいのであれば、優先したい部分を叶えてくれる会社を見つけることが大切になります。

進捗確認はこまめに行う

システム開発中は、納期に遅れがないかどうか、定期的に進捗をチェックする必要があります。

進捗チェックする際は、自社の要望をまとめた提案依頼書を用いることで、希望通りのシステム開発になっているのかも確認できます。
たとえば、システム開発によって影響のある業務や、新しいシステムへの切替日などを書いておくと、依頼先の会社との認識のずれが生じにくいです。

不具合に素早く対応できるか?

システム開発後は、システムトラブルが発生する場合があるため、その不具合に素早く対応できる体制が構築されている必要があります。
不具合発生後の対応やメンテナンスなど、システム開発後の運用保守は自社でやるのか、依頼先の会社でやるのか、事前にはっきり決めておきましょう

システム運用保守を自社で行う場合、システム開発を依頼した会社とは定期的に連絡をとっておくことが大切です。
もし不具合が起きた場合、すぐに相談をしやすい上、新たにシステム開発を行う依頼先の会社を探す手間やコストが削減できます。

▶︎WEB開発の見積もり前に注意すべき点とは?

WEB開発の依頼方法まとめ

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本記事では、WEB開発を他社に依頼する方法を解説しました。
WEB開発を一から自社で行うことも可能ですが、WEBシステムの機能や自由度の高さ、システム開発後の運用保守の難しさを考えると、外注するメリットの方が大きいと理解できたのではないでしょうか。

もし外注するのであれば、依頼先の会社を見つける際は今回説明した「WEB開発を依頼する際のポイント」を必ず意識してから、自社の希望に合った会社を探してください。
それぞれの会社によって特徴や費用は異なるため、必ず複数社で比較検討することも忘れずに行いましょう。

当初の予定より開発期間がかかってしまったり、開発費用が予算を大幅に超えてしまうなどのトラブルを防ぐためにも、まずは自社がどんなシステム開発を行いたいのか優先順位を決め、開発会社の選定を行うことが大切です。

この記事の監修者

星野 和大



1993年生まれ。千葉県柏市出身。
早稲田大学社会科学部社会科学科卒業IQ140overのギフテッド。

学生時代より東証プライム上場企業にてオウンドメディアの構築〜運営に携わり、卒業後は転職メディアを立ち上げ、売却。

WEB系スタートアップの創業メンバーとして、女性向けオウンドメディアのマネタイズを担当し、半年で月商ゼロから約3000万円までグロース。

現在は起業し、クライアントのオウンドメディア構築を担当し、直近では美容クリニックのオウンドメディアを新規ドメインで立ち上げて4ヶ月でデイリーPVを35→4035までグロースさせ、月間検索ボリューム24000のキーワードで3位を取得し、収益化を達成。

他に、LPのディレクションやセールスライティング、年商700億円ほどの東証プライム上場企業のマーケティングアドバイザーも務める。