WEB開発をしようと考えた時、まずはじめに悩むことが「自社開発」するか「受託開発」するかです。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが良いか悪いかはありません。
現在の自社の予算や目的を理解して、最適な手段を選ぶことが大切です。

本記事では、受託開発を解説していきます。
受託開発とは何か?という基礎知識から、受託開発のメリット・デメリット、最後に受託開発を始める前の注意点をお伝えします。

自社開発にするか受託開発にするか迷っている方は、参考にしてください。

WEB開発における受託開発とは?

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まず初めに、「受託開発とは何か?」から説明します。
「受託開発」という言葉は聞いたことがあっても、はっきりした定義をわかっていない方も多くいるため、大前提となる意味合いから理解しておきましょう。

外部にWEB開発を依頼する方法

受託開発とは、自社が求めているシステム開発を外部の会社に依頼して、システムを開発することを指します。

受託開発する会社にも種類があります。
クライアントから直接受注する会社を「元請け」、元請けから受注する会社を「二次請け」と呼び、「三次請け」、「四次請け」と続きます。

このように、複数の会社が請け負う構造が一般的です。

支払い形態としては、WEB開発したものを納品してはじめて報酬が支払われます
受注側は依頼された納品物を完成させる義務があるため、完成できなかったり、要望を満たしていなかったりすると、報酬の支払いは発生しません。

報酬額は、依頼内容の複雑さや必要な作業量、工数などをもとに、発注者と受注者が話し合って決まります。

SESとの違いは?

SESとは、「System Engineering Service」の略称であり、システム開発に関わる業態の一つです。
SES契約というと、自社に外部のエンジニアが常駐して、システム開発する契約形態になります。

受託開発には納品物を完成させる義務がありますが、SES契約では納品物を完成させる義務はありません
報酬は、WEB開発にかかった工数や時間、エンジニアのスキルや単価などによって決まります。

SES契約の場合、システムを導入するのが目的ではなく、必要な期間に必要なエンジニアを確保しておくために利用されます。

このような特徴から、SES契約はシステムの運用・保守などのような、成果物が決まっていない業務に適しています。
逆に、受託開発の場合はシステムの内部設計などのような、成果物が決まっている業務に向いています。

WEB開発で受託開発業者を利用するメリットは?

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WEB開発において、受託開発を利用するメリットは3つあります。
それぞれの特徴を理解しておき、有効に活用していきましょう。

・工数負担が抑えられる
・予算を検討しやすい
・開発費用が抑えられる

工数負担が抑えられる

もし自社でWEB開発を行う場合、人材確保や人材の育成、開発の工数などによって、自社の負担は非常に大きいです。
そこで受託開発をすることによって、自社の負担を大きくおさえることができます。

自社開発でやるべきことをほぼ全てやってくれるため、WEB開発に使う予定だった自社のリソースの節約が可能です。
空いた時間や人材などのリソースは、他の重要な業務に使えるため、会社全体としての売上アップにもつながります。

自分たちができることに集中し、できない不得意な部分はその道のプロに任せることで、事業もステップアップしていけるでしょう。
特に、経営者層はWEB開発をするよりも、売上に直結するような事業推進や環境づくりなどの重要な仕事に着手すべきです。

予算を検討しやすい

受託開発は事前に報酬が確定しているため、予算が組みやすいです。
受託開発は請負契約のため、最初の契約時に決めた報酬以外に、追加料金を支払うことはありません。

請負契約とは、発注者に成果物が納品されてはじめて報酬が支払われる仕組みです。
つまり、受注者がWEB開発にどれだけの時間や工数をかけても、発注者の要望を満たした成果物が納品されない限り、発注者に報酬の支払い義務は発生しません。

納品された場合のみ、発注者は報酬を一括で支払います。
「受注者が成果物を渡して、発注者が報酬を払う」というのが全体の流れで、店舗で商品を購入することと仕組みは似ています。

また、発注者には契約内容に違反したことがあれば損害賠償請求できる「契約不適合責任」があります。
発注者が契約違反の事実を知ってから1年以内の通知があれば、受注者に無償で対応してもらったり、報酬を減額してもらったりできます。

支払日や納品日に関しても、見積もり時点でスケジュールが決まっているため、予算の計画も立てやすいです。
このメリットは発注者だけでなく、受注者にもメリットがあります。

開発費用が抑えられる

受託開発は、依頼次第で開発費用を削減することができます。

大体の相場はありますが、具体的なWEB開発費用に関しては、外注先によって異なります。
機能やその企業の実績、エンジニアのスキルや単価、プロジェクトに関わる人数などによってピンキリあります。

WEBシステムの開発であれば、高いと1000万円以上にもなりますが、安いところだと50万円でも依頼可能です。

デザインや機能にこだわらないのであれば、比較的安く開発できます。
ただ、テンプレートを使用していることが多いため、自由度は少なく、他社サイトとの差別化が難しくなることも考慮しなければいけません。

そのWEB開発費が高いのか安いのかを判断するためには、複数の会社から見積もりをもらってください
複数を比較することによって、相場感がわかり、そのWEB開発費がお得なのかどうかもわかってくるはずです。

さらに費用を削減したいのであれば、事前の交渉でも安くなることもありますし、日々のサイト運用・保守を自社で対応することでも、WEB開発費は削減できます。
外注するのは開発だけのため、開発費用は大きく抑えられるでしょう。

WEB開発で受託開発業者を利用するデメリットは?

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WEB開発を受託開発することは、メリットだけでなくデメリットもいくつかあります。
ここでは、特に懸念すべきデメリットを2つ紹介します。

・自社のエンジニアが育たない
・セキュリティリスクがある

自社のエンジニアが育たない

受託開発では、WEB開発のすべて、もしくは一部を外部の専門業者に依頼することになるため、自社のエンジニアの負担は軽減できます。
エンジニアの手が空けば、他のより重要な業務に取り組んでもらえるため、会社全体としての売上につながりやすいです。

しかし、自社エンジニアの成長の機会を逃しているとも言えます。
エンジニアは同じ分野の仕事を続けることが多く、違う分野で違うスキルや言語に触れる機会はあまりありません。

そのため、社内の仕事だけをしていると、新しい知識や経験を得られないのです。
受託開発は、その分野の専門業者に依頼するため、効率的に仕事を進めてくれますが、自社のエンジニアにとっては、ノウハウが蓄積せずに成長できないというデメリットがあります。

また、未経験のことを自主学習するよりも、実際に案件をこなして経験した方が、学習効率としては高いです。
プロと比べると納品するまで時間はかかりますが、WEB開発の知識やスキルを身につけるためと考えると効率的でしょう。

セキュリティリスクがある

受託開発には、情報セキュリティに関する問題もあります。

受託開発を始める場合、社内の重要な情報を依頼会社に共有しなければなりません。
社外秘の情報を他の会社(エンジニア)に提供する必要があるため、情報漏洩のトラブルが発生する可能性があります。

もし情報漏洩が起きてしまうと、会社の信頼を一気に失うことになり、顧客の多くが離れていってしまうリスクもあります。
既存顧客が離れてしまうことは、会社にとって大きな損失になるはずです。

情報漏洩が起きないように、依頼会社とは事前にセキュリティレベルをしっかり確認しておきましょう。

▶︎WEB開発を外注するメリット・デメリットの詳細はこちら。

WEB開発で受託開発業者に依頼する前に知っておきたい点

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最後に、WEB開発を受託開発業者に依頼する際の注意点をお伝えします。
依頼する前に必ずおさえておくべき内容になっているため、以下の2つはしっかり理解しておきましょう。

・口頭で契約は結ばない
・見積もりは事前に取得しておく

口頭で契約は結ばない

受託開発(請負契約)は、完成義務や契約不適合責任が適用されますが、口約束で契約を結んだ場合は無効になります。
そのため、必ず書面上に契約内容を記載しておかないといけません

完成義務とは、発注者が依頼した契約内容を受注者が完了させる義務のことです。
受注者は必ず契約通りの成果物を完成させないといけません。

もし期日までに成果物が納品できない場合は、報酬は一切発生しません。
成果物を完成させるまでは受注者に成果物の責任があり、開発する過程は受注者に一任されます。

契約不適合責任とは、納品された成果物が契約内容と違かった時に受注者が負う責任のことです。
発注者がシステムの不具合に気づいた時点から1年以内であれば、受注者に対して責任を追求することができます

責任の追求手段は以下の4つです。

・追完請求
成果物が契約内容と異なる動作をする(不具合がある)場合、受注者が修正しなければなりません。

・報酬減額請求
期間内に追完が不可能な場合、つまり不具合の修正作業が予定よりも遅れたり、技術的に修正できない不具合が見つかったりすると、発注者の報酬減額請求が認められます。

・損害賠償請求
受注者の帰責事由があれば、発注者は損害賠償請求をすることができます。

・契約解除
一般的に定められた法定解除要件を満たせば、契約した義務を果たせなかったことによる契約解除が可能です。

見積もりは事前に取得しておく

受託開発を開始してからトラブルが起きないためにも、契約前の見積もりは必ず行いましょう。

見積もりをする理由は、WEB開発におけるどの工程がどのくらいの費用になるのかを把握し、自社に導入すべきかの判断材料になるだけではありません。
スケジュールに遅れが出た場合の対応や、追加料金がかかる場合の条件など、大きなトラブルにならないための対策を決めておくものでもあります。

見積書をもらったら、費用や必要な機能があるかだけ確認するのではなく、トラブル発生時の対応に関してもチェックしましょう。

見積もりをする際は、複数社から提案してもらうことが大切です。
一社だけですと、それが良いのか悪いのかが判断できないため、複数の条件を比較してから、自社に合った会社を見極める必要があります。

もし曖昧な部分や不明点があった場合は、受注者に質問してください。
ほとんどの会社は丁寧に詳細に回答してくれるはずです。

逆に、詳細を説明されない場合は質の悪いサービスを提供している会社の可能性が高いため、見送ることをおすすめします。

▶︎WEB開発を依頼する前におさえておくべきポイントを詳しく知る。

WEB開発の受託まとめ

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WEB開発を受託開発するメリットは、非常に大きいです。

自社にWEB開発するノウハウがなくてもいいですし、WEB開発するために新しい人材を確保する必要もありません。
自分や社員の工数をかけなくて良いため、他の重要な業務に時間を割くことができます。

ただし、受託開発を依頼する前は必ずおさえておくべき注意点もありますので、本記事で解説した内容はしっかり理解しておいてください。
WEB開発を成功させるためには、信頼できる依頼会社を見つけることが重要です。

自社開発を考えていた方も、一度、受託開発を検討してみてはいかがでしょうか。
業務の効率化や会社としての売上アップにもつながるはずです。

この記事の監修者

星野 和大



1993年生まれ。千葉県柏市出身。
早稲田大学社会科学部社会科学科卒業IQ140overのギフテッド。

学生時代より東証プライム上場企業にてオウンドメディアの構築〜運営に携わり、卒業後は転職メディアを立ち上げ、売却。

WEB系スタートアップの創業メンバーとして、女性向けオウンドメディアのマネタイズを担当し、半年で月商ゼロから約3000万円までグロース。

現在は起業し、クライアントのオウンドメディア構築を担当し、直近では美容クリニックのオウンドメディアを新規ドメインで立ち上げて4ヶ月でデイリーPVを35→4035までグロースさせ、月間検索ボリューム24000のキーワードで3位を取得し、収益化を達成。

他に、LPのディレクションやセールスライティング、年商700億円ほどの東証プライム上場企業のマーケティングアドバイザーも務める。