士業のホームページは、事務所のことを認知してもらったり集客したりするのに欠かせないものです。
ネットでの情報収集が普通に行われる現在では、「ホームページがない=事務所が存在しない」と思ってもいいでしょう。
士業では、まず自身のサービスについて多くの人に知ってもらう必要があります。
その後に、事務所に興味を持ってもらって、問い合わせや依頼につながっていきます。
その工程をすべてできてしまうのが、ホームページです。
本記事では、士業のホームページを制作する上で準備すべきものや、集客につなげるためのポイントを解説します。
最後には、他の士業事務所でのホームページ集客成功例を紹介します。
ぜひ自身のホームページ集客でもご活用ください。
目次
士業の集客用ホームページは必要?
「そもそも、本当に士業の集客用ホームページは必要なのか」と疑問に思っていませんか?
まずは、士業のホームページがになっている役割を解説します。
ホームページが重要な理由を知ることで、最大限の効果を発揮できるはずです。
士業がホームページを集客用として利用する理由は、大きく3つあります。
・顧客との接点がつくれる
・顧客に信頼感が与えられる
・差別化を図れる
顧客との接点がつくれる
今はネット上のWEBサイトで情報を取得している人が多くいます。
そのため、士業事務所や個人名を知らない人は、WEBサイトを見て認知する可能性が高いです。
もちろん、知り合いや仕事仲間とのつながりで士業事務所を知る人もいますが、問い合わせする前に事務所名で検索して、情報を最低限集めるはずです。
士業事務所名もしくは個人名で検索した時、ホームページが出てこなかったら、問い合わせにつながらず離脱される可能性があります。
ホームページが出てきたとしても、載せている情報が不十分で信頼できる士業事務所か判断できない場合も離脱につながります。
わざわざ検索してホームページに訪問してくれた、自社サービスに興味関心の高い顕在層のため、逃してしまうのは非常にもったいないです。
ネット上で問い合わせや資料請求につなげるためには、ホームページの設置が大前提になります。
ホームページがあることでユーザーとの接点が生まれ、ホームページ内の導線によって問い合わせや資料請求などの行動(コンバージョン)に移してくれます。
士業ではホームページの目的をしっかり理解して、制作・運用していきましょう。
顧客に信頼感が与えられる
問い合わせや資料請求などのコンバージョンにつなげるためには、士業事務所への信頼感・安心感が重要です。
どんなに興味を持たれたとしても、士業事務所への信頼感・安心感がないとコンバージョンには至りません。
ユーザーは、いくつもの士業事務所を比較・検討します。
その中で「この事務所に任せても大丈夫か」「この人に相談しても大丈夫か」など、多くの不安を抱きます。
その不安を解消するために、ホームページを利用するのです。
ホームページ内にユーザーの悩みを解決するコンテンツを載せたり、どんな人が相談しに来るのか具体的な事例を紹介したり。
ユーザーのニーズがある情報を発信することで、士業事務所の信頼を獲得することが可能です。
信頼感・安心感を証明できれば、コンバージョンの獲得も容易になります。
ユーザーに信頼されるようなコンテンツやデザインのホームページを制作しましょう。
差別化を図れる
士業事務所は数多く存在します。
その中で自社を選んでもらうためには、ホームページで事務所の強みをアピールできないといけません。
注意していただきたいのは、わかりやすい表現で強みを説明することです。
ホームページの訪問ユーザーは、士業に関しての知識がない場合がほとんどです。
士業初心者に、専門的で難しい士業について理解してもらうためには、できるだけ噛み砕く必要があります。
専門性の高い内容であっても、誰でも理解できるように難しい言葉を使わず、丁寧な説明を心がけてください。
士業事務所の強みをわかってもらえないと、興味を持たれることもありません。
何を専門にしている事務所なのかが伝われば、ユーザーに興味を持たれる可能性が高いです。
集客のために士業のホームページを制作するときのポイント
士業のホームページを作る前に、必ずおさえておくべきポイントがあります。
これから紹介する5つのポイントを意識しないでホームページ制作してしまうと、集客に全くつながらなくなってしまうため、制作に取り掛かる前に理解しておきましょう。
・ターゲットを明確にする
・ポジショニングを実施する
・専門性の高さをPRする
・経歴を掲載する
・依頼までの流れを掲載する
ターゲットを明確にする
集客につながる士業のホームページを作るためには、まず誰を対象に集客するのかはっきりさせておくことが大切です。
「ターゲットを広げるほど、対象も増えて多く集客できる」と勘違いしている方もいますが、この考えは間違っています。
ターゲットを絞らずに、どんな人でも対象にしてしまうと、自社の訴求ポイントが薄くなってしまい、発信内容もユーザーに全く響かなくなります。
結果、他の士業事務所に顧客を取られてしまい、自社の集客につながりません。
訴求ポイントがない事務所は興味も持たれず、他の士業事務所と比較する候補にも挙がらないです。
そのため、ターゲットを適切に絞り込みましょう。
絞り込みができれば、ユーザーがどんな悩みを抱えているのか想定でき、ユーザーの求めるコンテンツを制作することができます。
士業のホームページで、ターゲットの興味ある情報を提供することができれば、自然と事務所にも興味を持ってもらえます。
まずはユーザーのニーズをリサーチして、どのターゲット層にアプローチするのか決めることです。
ポジショニングを実施する
ターゲットを決めたら、次はポジショニングを行います。
市場のどこにポジションを置くのか決めることです。
ポジショニングを行う際は『3C分析』を使いましょう。
3C分析とは、以下3つの要素を分析することで、ある市場で自社が勝つためのKFS(Key Factor for Success:成功要因)を見つけるフレームワークです。
・Customer(顧客・市場):顧客や市場のニーズの変化
・Competitor(競合):顧客・市場の変化に対する競合の対応
・Company(自社):自社の強み・弱み
「顧客・市場」「競合」「自社」、3つの要素を分析して、自社の成功要因を見つけます。
客観的に外部と自社の状況を把握することで、自社が取るべき戦略やポジションが明らかになってくるはずです。
顧客にはどんなニーズがあるのか、どんな悩みを抱えているのか、どれくらいの物を望んでいるのか。
自社は競合よりもどこが優れているのか、どこが劣っているのか。
徹底的にリサーチしてください。
もし客観的な判断が難しい場合は、顧客に聞いてみるのが早いです。
リサーチができたら、他の士業事務所よりも自社が優位に立てるポジションを探していきます。
ポジショニングマップを用いて、視覚的に捉えるとわかりやすいです。
他の士業事務所にはない、自社の強みが活かされたポジションを確立できると、集客も安定します。
専門性の高さをPRする
ホームページへの訪問ユーザーは、士業に関する知識はありません。
そんな人に興味を持ってもらうためには、自社は何が得意なのかを伝えることが大切です。
ユーザーのどんな悩みを解決できるのか、具体的に説明しましょう。
自分がその道の専門家だということをアピールすることで、「この人に任せれば、悩みが解決できる」と思ってもらえ、問い合わせにつながります。
専門性をアピールする際に注意すべきことは、難しい専門用語を使いすぎないことです。
士業は専門性が高いため、専門用語がたくさんあります。
専門家同士であれば、専門用語を使うことでやりとりが楽になるため、良かれと思って専門用語を使いますが、それでは初心者は全く理解できません。
普段から専門用語を使っているため、「みんな知っているだろう」と思い込んで、無意識に使っている場合もあります。
さらには、周りから「なんでも知っているすごい人」だと思われたくて、わざと難しい言葉を使っている人もいます。
しかし、専門用語を頻繁に用いるのはやめましょう。
専門用語ばかりが羅列しているホームページは、ユーザー側からすると読むのがストレスです。
ストレスを感じれば、離脱につながります。
できるだけ専門用語は使わず、もし使う場合は専門用語についての簡単な説明も入れましょう。
小学生が読んでも理解できるくらいの文章であれば、ユーザーも簡単に読めて、結果的に集客効果も見込めます。
経歴を掲載する
士業事務所に依頼する際、名前や電話番号、住所だけでなく、細かいプライベートな情報を提供する場合も多くあります。
自分の情報を開示しないといけないわけですから、信頼できる人でないと依頼には踏み切れません。
問い合わせや依頼につながる士業のホームページは、信頼できるかどうかが重要です。
信頼感を得る方法としては、簡単にできることが2つあります。
まずは、自己紹介を行うことです。
責任者の顔写真や経歴をホームページに掲載しましょう。
士業になったきっかけや、どんな想いで士業をやっているのかなども伝えると、より信頼を獲得できます。
過去の依頼者の声を掲載することも、信頼感を得る効果的な方法です。
サービス提供者の主張よりも、第三者の声のほうが信憑性は高く感じられます。
「〇〇さんのおかげで、悩みが解決できた」「いつも親身になって相談に乗ってくれた」などの声があるほど、信頼できる事務所だと認識されます。
結果、「自分も悩みを解決してもらえるかも」「この人なら安心できる」と思ってもらえ、集客・問い合わせも増えていくでしょう。
依頼までの流れを掲載する
士業事務所への依頼は気軽に行えるものではなく、非常にハードルが高いです。
「依頼料は高いのではないか」「無料相談に参加したら、無理やり契約をさせられるのではないか」など、わからないことが多くて不安に感じ、依頼へ一歩を踏み出せない人も多くいます。
士業のホームページでは、ユーザーが抱く不安をすべて払拭しないといけません。
不安を取り除くためにホームページに載せる内容としては、まず具体的にどのような流れで依頼するのかです。
依頼したいと思ったユーザーが、これからどのように申し込めばいいのかわからないと、依頼にはつながりません。
次の手順がはっきりわかることで、ユーザーを離脱させず、依頼につなげることができます。
ユーザーの不安を取り除き、相談しやすい環境を整えておきましょう。
士業ホームページで集客するために必要なこと
士業のホームページ集客を成功させるために、やっておくべきことがあります。
集客効果を高める以下の2つは、必ず行いましょう。
・良質なコンテンツを定期的に発信する
・SNSを有効活用する
良質なコンテンツを定期的に発信する
士業のホームページ集客を増やすためには、自然検索からの流入を増やすことが基本となります。
そのためには、ホームページを上位表示させないといけません。
検索上位に表示されるために、質の高いコンテンツを量産する必要があります。
質の高いコンテンツとは、検索ユーザーのニーズに合った情報、検索ユーザーの悩みを解決するような記事のことです。
検索ユーザーが何を求めているのかを理解して、その回答を記事としてコンテンツにしていきましょう。
とにかくユーザーファーストで、ユーザーの満足度を高めることを意識してください。
コンテンツを定期的に発信していくことで、ホームページに資産として残り続けます。
コンテンツが増えていくほど、ホームページの価値を高めることが可能です。
結果、検索エンジンからの評価が高まり、検索上位に表示されやすくなります。
上位表示されれば閲覧数が増え、コンバージョンの獲得につながります。
また、検索順位が1位になると20%近くの人がクリックしてくれますが、10位だと約1%の人しかクリックしてくれないため、できるだけ1位を目指しましょう。
SNSを有効活用する
士業ホームページの集客効果を高める方法として、SNSも効果的です。
SNSは無料で利用でき、多くのユーザーへアプローチできます。
SNSとホームページを連携させ、ユーザーをホームページへ誘導させます。
誘導方法はいくつかありますが、一般的にはSNSのプロフィールにホームページのURLを記載しておくことです。
普段の投稿にもホームページのURLを載せても良いでしょう。
投稿には、士業に関連した用語や地域名などのハッシュタグを入れると、さらに拡散力が上がります。
SNSによって異なりますが、画像や動画を使ってホームページへ誘導するのも可能です。
画像や動画は文章だけよりも目立つため、多くの人の目に触れ、ホームページへの集客効果を高めます。
各SNSごとに特徴は違うため、士業事務所のターゲットによって適切なSNSを利用しましょう。
特に、士業であればTwitterとFacebookがおすすめです。
Twitterは140文字の制限があるテキストベースのため、気軽に投稿ができ、継続しやすいです。
「いいね」や「リツイート」機能による拡散力が高く、幅広い層へ告知ができます。
ただ匿名ユーザーが多いため、炎上には注意しましょう。
Facebookは実名登録が必須のため、ビジネス目的の利用ユーザーが多いです。
業界内でのつながりが強くなる傾向があるため、コミュニティ作りには有効でしょう。
ただTwitterより拡散性はなく、若年層にはアプローチしづらいです。
士業ホームページで集客に成功した事例
最後に、ホームページ集客に成功した士業の事例を紹介します。
成功要素を参考に、自社のホームページでも活用できる部分もあるはずです。
・成約までの流れを掲載
・相談できる内容をジャンル別に分類
・業務に従事している人の顔を掲載
・利用者のレビューを掲載
・専門性をPR
・サポートメニューを細かく掲載
成約までの流れを掲載
ある法律事務所が運営するホームページの事例です。
このホームページは、初めて利用する人にも理解しやすいようなサイト構成を意識して制作してあります。
ユーザーに信頼感を感じてもらえるようなコンテンツです。
たとえば、他の事務所とは違う強みをアピールしたり、依頼料金、依頼までの流れなど、ユーザーが気になる情報を詳細に掲載してあります。
専門性の高い内容になっていますが、士業に詳しくない人でも理解できるようにわかりやすい表現を使っています。
そのため、コンテンツを読み進めていくうちに信頼感が生まれてくるのです。
結果、ホームページ内でユーザーの不安をすべて払拭することに成功。
問い合わせや相談数が増加しました。
相談できる内容をジャンル別に分類
ある司法書士・行政書士事務所のホームページの事例です。
このホームページでは、訪問したユーザーが知りたい情報をすぐ見つけられるようなサイト設計にしてあります。
業務内容に関しては、企業法務・相続手続き・不動産登記の3つにカテゴリ分類することで、ユーザーが目当ての情報にすぐ辿り着くことができます。
それぞれの詳細ページでも、どんな業務に対応できるのかが整理されており、希望の業務を依頼できるかがぱっと見でわかります。
ユーザーが知りたい情報をすぐに見つけられるように、情報をわかりやすくまとめておくことが大切です。
ホームページ内を複雑な構成にしてしまうと、せっかく良質なコンテンツがあったとしても、見られずに離脱されてしまいます。
ユーザーの手間と時間をかけさせないように、目当ての記事まで2、3回のクリックでたどり着けるくらい、シンプルでわかりやすい設計にしておきましょう。
業務に従事している人の顔を掲載
ある法律事務所のホームページの事例です。
このホームページでは、依頼を受ける弁護士の顔写真を掲載し、安心感が獲得できるような内容にしました。
弁護士に依頼をするとなった場合、一番不安なことは「担当の弁護士はどんな人なのか?」です。
実在するのかもわからないのに、弁護の依頼をする人はほぼいません。
最も人の印象がわかるところが「顔」です。
自然な笑顔の顔写真があるだけで、実在する人であることもわかる上、どんな雰囲気の人なのかも想像できます。
顔写真を載せることで、安心感が生まれ、「この人になら任せられる」という期待感アップにもつながります。
利用者のレビューを掲載
ある法律事務所のホームページの事例です。
このホームページでは、過去の利用者のレビューをたくさん載せて、事務所の信頼性を獲得しました。
実際に相談した人や契約した人の口コミをホームページにどんどん掲載していったのです。
たとえば、GoogleのレビューやFacebookのレビュー、コメントなどをホームページにも引用しました。
SNSのレビューやコメントは自分で操作できないため、信憑性の高い情報になります。
つまり、自分で「このサービスがおすすめです!」というよりも、「このサービスは素晴らしかったです!」のような第三者のリアルな声の方が訴求力は高いです。
結果、事務所の信頼性が上がり、問い合わせにつながりました。
専門性をPR
ある弁護士が運営している人材雇用支援サイトの事例です。
このホームページでは、事務所の専門性をアピールすることによって、依頼を増加させました。
人材雇用の中でも、外国人を専門で支援していることをアピールしたのです。
なぜ外国人の人材雇用を支援しているのかの理由、事務所の理念、想いなどをコンテンツとして追加。
他にも、この事務所が選ばれている理由、取り扱っている業務範囲などもコンテンツとして制作しました。
結果、ホームページ内のコンテンツは非常に充実し、ユーザーは迷うことなく依頼に踏み込めるようになりました。
サポートメニューを細かく掲載
ある会計事務所のホームページの事例です。
このホームページでは、サポートメニューを細かく掲載することで、ユーザーの不安を払拭することに成功しました。
サポートメニューとは、月次決算や税務申告、税務調査、年末調整などです。
その事務所はどんな業務を、どこまでサポートしてくれるのか、詳細に記載しておくことで、不安な点もなくユーザーは申し込みできます。
どんな問題を解決してくれるのか、ユーザーが判断できるホームページにしましょう。
士業のホームページ集客まとめ
士業の集客において、ホームページは大きな役割を担っています。
ほとんどの人が士業選びにネットを用いている現在、ホームページは必須と言えるでしょう。
ただホームページを制作しただけではいけません。
ホームページは公開してからが重要で、ターゲットのニーズを把握・理解して、ターゲットに合わせた運用・改善をする必要があります。
大切な予算や時間を無駄にしないためにも、まずは正しい士業のホームページ制作・運用の基礎を学びましょう。
今回の記事では、ホームページを制作する上での重要なポイントや準備すべきことをお伝えしたので、ぜひご活用ください。