2025年に新設された「新事業進出補助金」の概要、申請条件、対象経費、スケジュール、注意点などを詳しく解説。中小企業の成長を支援する最新情報をお届けします。
目次
中小企業の未来を切り拓く「新事業進出補助金」
2025年、中小企業の成長と賃上げを支援する新たな補助金制度「新事業進出補助金」が創設されました。この制度は、企業が新たな市場や高付加価値事業へ進出する際の設備投資や人材育成、広告宣伝などの費用を支援するものです。本記事では、この補助金の概要から申請手続き、注意点までを詳しく解説します。中小企業の皆様がこの制度を最大限に活用し、持続的な成長を遂げるための一助となれば幸いです。
この記事で学べること
- 新事業進出補助金の目的と背景
- 補助対象者と申請要件
- 補助対象経費と補助率
- 申請スケジュールと手続きの流れ
- 申請時の注意点と成功のポイント
- 他の補助金制度との比較
新事業進出補助金の概要と目的
新事業進出補助金は、中小企業や小規模事業者が新たな事業や高付加価値事業へ進出する際の支援を目的とした制度です。背景には、物価高や人手不足など厳しい経営環境に直面する中小企業の“稼ぐ力”を強化し、持続的な賃上げにつなげるという政府の狙いがあります。この補助金は、企業の成長・拡大を通じて生産性の向上や賃上げを促進することを目的としています。
補助対象者と申請要件
補助対象者
以下のいずれかに該当する事業者が対象となります:
- 中小企業者(資本金または常勤従業員数が業種ごとに指定された一定値以下の会社または個人)
- 「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人(従業員数300人以下に限る)
- 特定事業者の一部(組合、連合会など)
- 対象リース会社(中小企業等との共同申請による機械装置またはシステム購入費用にのみ適用)
申請要件
申請には以下の6つの条件を満たす必要があります:
- 新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること(新事業進出要件)。
- 付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加すること(付加価値額要件)。
- 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率が2.5%以上増加すること(賃上げ要件)。
- 事業所内最低賃金が、事業実施都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること(事業場内最賃水準要件)。
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表すること(ワークライフバランス要件)。
- 補助事業の実施に当たり金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること(金融機関要件)。
補助対象経費と補助率
補助対象経費
以下の経費が補助対象となります:
- 建物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費(検査・加工・設計等に係る)
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
※「建物費」または「機械装置・システム構築費用」が必ず含まれている必要があります。
補助率と上限金額
🗂️ 中小企業新事業進出補助金 概要リスト
項目 | 内容 |
---|---|
補助率 | 1/2(50%) |
補助額 | 従業員数に応じて以下の通り ・20人以下:2,500万円(特例適用時:3,000万円) ・21~50人:4,000万円(特例適用時:5,000万円) ・51~100人:5,500万円(特例適用時:7,000万円) ・101人以上:7,000万円(特例適用時:9,000万円) ※補助下限額:750万円 |
対象要件 | ・既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出 ・付加価値額の年平均成長率+4.0%以上の増加 ・給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上の増加、 または地域別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上 ・事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上 ・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表等 |
補助対象期間 | 交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内) |
補助対象経費 | ・建物費・構築物費 ・機械装置・システム構築費(リース料を含む) ・技術導入費 ・専門家経費 ・運搬費 ・クラウドサービス利用費 ・外注費 ・知的財産権等関連経費 ・広告宣伝・販売促進費 |
補助対象者 | 日本国内に事業所を有する中小企業および個人事業主で、 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を計画している者 |
この補助金は、既存事業とは異なる新たな分野への進出を目指す中小企業や個人事業主を支援する制度であり、最大9,000万円の補助が受けられる可能性があります。詳細な情報や申請手続きについては、経済産業省や中小企業庁の公式ウェブサイトをご確認ください。
申請スケジュールと手続きの流れ
第1回公募スケジュール
- 公募期間:2025年4月22日(火)~7月10日(木)
- 申請受付期間:2025年6月ごろ~7月10日(木)18時
- 採択結果発表:2025年10月頃
- 交付申請締切日:採択結果発表日から2か月以内
- 補助事業実施期間:交付決定日から14か月以内(採択結果発表日から16か月以内)
- 実績報告提出締切日:補助事業の完了期限日(交付決定通知書に記載)
申請手続きの流れ
- GビズIDプライムアカウントの取得
- 必要書類の準備(決算書、従業員数を示す書類、収益事業を行っていることを説明する書類、固定資産台帳、賃上げ計画の表明書など)
- 事業計画の策定
- 電子申請による提出
申請時の注意点と成功のポイント
- 申請書類の不備や提出漏れを防ぐため、早めの準備が重要です。
- 事業計画は、補助金の目的に沿った内容で、具体的かつ実現可能性の高いものを策定しましょう。
- 賃上げ特例を活用する場合は、追加要件を満たす必要があります。
- 専門家のサポートを受けることで、採択率を高めることができます。
他の補助金制度との比較
補助金制度 | 補助対象者 | 補助率 | 補助上限金額 | 主な目的 |
---|---|---|---|---|
新事業進出補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 1/2 | 最大9,000万円 | 新事業・高付加価値事業への進出支援 |
ものづくり補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 1/2 | 最大1,000万円 | 生産性向上のための設備投資支援 |
小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者 | 2/3 | 最大50万円 | 販路開拓や業務効率化の支援 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 新事業進出補助金は誰でも申請できますか?
A. 中小企業基本法に基づく中小企業や小規模事業者が対象で、一定の事業計画や賃上げ目標を満たす必要があります。詳細は経済産業省が発表する「新事業進出指針」に準拠します。
Q2. 申請には何が必要ですか?
A. 事業計画書をはじめ、直近の決算書や雇用状況に関する書類、GビズIDの取得など複数の書類準備が求められます。金融機関からの支援証明も必要になるケースがあります。
Q3. 補助金が採択されるポイントは?
A. 明確な事業目的、高い実現可能性、地域経済や雇用への好影響が審査で重視されます。また、賃上げ要件をどのように満たすかも大きな評価ポイントです。
Q4. 他の補助金と併用できますか?
A. 原則として事業内容が重複しない限り併用可能です。ただし、補助対象経費の二重取りは不可です。必ず事前に条件を確認しましょう。
Q5. 不採択だった場合、再申請できますか?
A. 再申請は可能ですが、事業計画の見直しや不備の修正が求められます。専門家にチェックを依頼することで再チャレンジの成功率を高めることができます。
Q6. 採択された後に変更や辞退はできますか?
A. 状況により可能ですが、交付決定後の変更は厳格に審査されます。辞退する場合も、既に支出した経費の補助対象からの除外に注意が必要です。
まとめ:新事業進出補助金で企業成長の第一歩を
2025年に新設された「新事業進出補助金」は、中小企業が新たな市場に挑戦するための強力な資金的バックアップを提供します。高付加価値な事業への進出や、安定的な賃上げを支援するこの制度は、経営戦略に組み込む価値があります。
本記事を通じて、補助金の概要、申請要件、活用メリット、そして実務的な手順を理解していただけたかと思います。ぜひ、早めの準備と情報収集で、制度を最大限活用し、自社の成長戦略に組み込みましょう。
参考リンク・情報元
新事業補助金公募サイト
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/
🟢 補助金・助成金に関する最新情報は「Conterise」公式コラムで随時更新中!
▶ https://conterise.co.jp/contentmarketing_column/category/grants/
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