どれだけ魅力的な商品やサービスを持っていたとしても、その価値がユーザーに伝わらなければなかなか売上にはつながりません。だからこそ、現代ではコンテンツマーケティングという手法でアプローチをする企業が増えているのです。
しかし、ただやみくもにコンテンツマーケティングを実施しても成功しません。適切な効果測定の元、常に改善をし続けなければいけないからです。本記事ではコンテンツマーケティングにおける効果測定の重要性を、詳しく解説します。
目次
コンテンツマーケティングにおける効果測定とは?

コンテンツマーケティングとは、コンテンツを通じて見込み客や既存客にアプローチを仕掛け、最終的に利益を上げるためのマーケティング手法です。新規顧客開拓に加え、自社商品やサービスの認知度を上げたり、ブランド力を上げたりすることが目的とされています。
そのコンテンツマーケティングを成功に導くうえで重要なのが効果測定です。
では、そもそもコンテンツマーケティングにおける効果測定とは何をすればいいのでしょうか?また、なぜ効果測定をしなければいけないのでしょうか?
効果測定における基本的なポイントから解説します。
発信したコンテンツの効果を調査すること
コンテンツマーケティングにおける効果測定とは、発信したコンテンツの効果を調査することを指します。コンテンツマーケティングは、何も考えずに実践し続けるだけでは思うような結果にはつながりません。
実際に作ったコンテンツが、きちんと効果を発揮しているのかどうかを定期的に分析しなければならないのです。きちんと分析を行わなければ、仮に売上が上がっていたとしても、それがコンテンツマーケティングの効果によるものなのか、それとも他の要因なのかの判断ができません。
サイトにどれくらいの人が集まったのか?事前に設定した目標は達成できているのかどうか?などをきちんと分析することで、初めていい結果につながります。
効果測定した後は改善が必要
コンテンツマーケティングにおいて、効果測定をして満足してはいけません。思ったような結果につながっていなかった場合、なぜ結果につながらなかったのかを分析したうえで、改善を図る必要があります。
その分析と改善を繰り返し行うことで、少しずつ結果につながってくるのがコンテンツマーケティングなのです。
なぜ効果が出なかったのかを知ることはコンテンツマーケティングを成功へ導くためには必要不可欠なので、効果測定はいつでも重要だと認識しておきましょう。
コンテンツマーケティングの効果測定が困難な理由とは?

効果測定は非常に大事ですが、実際に取り組んでみると難しいポイントは多々あります。
効果測定における難しいポイントを3つ紹介するので、ぜひ確認してみてください。
顧客からの評価は数値化しにくい
発信するコンテンツに集まるアクセスは数値で測れますし、そこからどれくらいの成果が発生したのかもわかります。しかし、ユーザーがそのコンテンツを見て、どう感じたのかまでは数値化できません。
また、商品購入や問い合わせなどのマーケティングの目標達成がコンテンツの品質によるものなのかの判断も難しいです。
人によって意見はさまざまなので、顧客からのコンテンツに対する評価を把握するには定期的にアンケートを取るのが最も効果的でしょう。一般的には流行りのSNSを活用したり、サイト内にアンケートフォームを設置したりすることがよくあります。
アンケートの回答者には何かプレゼントを用意すると、回答率が上がりやすくなるでしょう。プレゼントといっても高価な物を用意する必要はなく、たとえば、ここだけの特別な情報だったり、自社商品やサービスに使えるポイントを付与したりするのでもOKです。
効果測定の指標設定が困難
コンテンツマーケティングにおいて、効果の有無を計るための指標設定も難しい部分だといえます。とくに、サイトの立ち上げ初期は、基準となる数値が存在しないため、目標とすべき数値をどのくらいに設定すべきなのかも不透明でしょう。
そのような場合、まずは売上へのつなげ方を意識してみましょう。ゴールから逆算していけば、必然的にいくつかの小さな目標が明確になってくるはずです。
たとえば、まずそのサイトからいくら分の売上アップを図るのかを定め、その目標を達成するためにはPV数がどの程度必要なのかといった目標値を初めは仮説でいいので立てていきます。
もし、仮説で立てた目標のPV数が達成できなかったとしてもPV数に対して最終的に売上につながる率はどの程度なのかといった、新たに得られる情報はあるはずです。このように仮説と効果測定を繰り返すことで、徐々に明確な指標設定が可能になるのです。
効果予測が難しい
コンテンツマーケティングに限らず、何かのマーケティング施策を行う際には、その効果をある程度予測しながら仮説検証していく必要があります。
しかし、コンテンツマーケティングにおいては、ひとつのコンテンツから得られる情報が非常に多いので、予測を立てるのが難しい傾向にあります。訪問者数・閲覧数・平均滞在時間・離脱率などさまざまなデータが得られるため、これらのどのデータが、売上を左右するデータなのかの予測が難しいのです。
サービス内容によっては平均滞在時間が長い方が売上が向上するケースもあれば、単純にPV数が多い方が売上が向上するなど、商品やサービス内容によってまちまちです。
効果予測をある程度正確に行えるようになるためには、やはり効果測定によるデータ分析と改善を繰り返していく他ないでしょう。
コンテンツマーケティングの効果測定の方法

これからコンテンツマーケティングによる効果測定を実施していくにあたり、何をすればいいのでしょうか?
効果測定を行う方法として覚えておくべきポイントが3つあるので、詳しく解説します。
まずは目標を設定する
コンテンツマーケティングを行う際には、まずは目標を設定しましょう。目標を設定しておかなければ、効果測定時にどの数値を追えばいいのか不透明になるためです。
ただし、サイト立ち上げ初期においては、とにもかくにもアクセス数を稼がなければ意味がないので、目標は基本的にアクセス数を伸ばすことに設定して問題ないでしょう。
アクセス数の数値が伸びてきた段階で、次の目標を柔軟に設定していきます。引き続きアクセス数を目標に据えてもいいですし、CV数を目標においてもいいでしょう。
大切なのは、常に目標設定をし、その目標を達成するために数値を追い続けることです。
また、目標は設定するだけでは不十分です。目標が決まった後は、その目標を達成するために行なう指標や中間目標(KPI)も設定するようにしましょう。
専用ツールを活用して測定する
効果測定をする際には、専用の分析ツールを使用して測定しましょう。どれくらいのアクセスが集まっているのか?どのコンテンツが一番人気なのか?滞在時間はどれくらいなのか?など、コンテンツマーケティングを成功させるための重要なデータは、基本的にツールを通してでしか得ることができません。
したがって、効果測定をするうえで、ツールの使用は必須といえるでしょう。
専用のツールは有料のものから、無料のものまでさまざまですが、コンテンツマーケティングを行ううえで一般的に利用率が高いツールはGoogleアナリティクスです。こちらは無料ツールなので、ぜひ活用しましょう。
今後の改善を見極める
コンテンツは一度作ったらそれで終わりではありません。大切なのは、効果測定を行い、状況を見ながら何度も改善を繰り返すことです。とくに結果が目標設定に届いていない場合は、なおさら今後の改善点を正確に見極めていく必要があります。
PV数が伸びないのであれば、そもそもユーザーの検索意図とコンテンツの内容がマッチしていない可能性があります。CV数が低い場合は、サイト内の動線計画がうまくできていない可能性があるでしょう。
このようにツールを通した効果測定を行い、何度もデータとにらめっこしたうえで、今のサイトには何が足りないのか?何が間違っているのか?などを常に考えていきましょう。
コンテンツマーケティングの効果測定で基準にする数値

実際に効果測定をする際、どこをどう見ていけばいいのかわからないかもしれません。
初めてコンテンツマーケティングを始める人は、今から話すポイントを必ず覚えておいてください。
サイトのコンテンツ数
まず大前提の話になりますが、サイトのコンテンツ数が少なければ、正確な効果測定が行えません。Googleアナリティクスなどのデータを用いた効果測定は、基本的に統計データを扱っていることになりますので、データの母数が多ければ多いほど、予測値に誤差が生じにくくなるのです。
また、コンテンツ数が豊富なサイトは、顧客からの評価を受けやすく、データ分析もしやすいという利点があります。これにより、サイトの品質やユーザーの反応を客観的に把握することができ、マーケティング活動の方向性や改善点を明確にするのに役立ちます。
逆にいえば、母数が少ないと、正確な効果測定が行えないということになるので、正確な数値データを確保するといった意味でも、サイトのコンテンツ数は非常に重要な指標となります。どの程度の記事数があればいいといった正確な数字を明示するのは難しいですが、極論をいえば、あればあるだけ効果測定の数値は正確性を増していくでしょう。
サイト内のセッション数
SEOを意識したコンテンツを作り続けると、一定のアクセスが集まってくるようになります。そこで注目してほしいデータのひとつが、サイト内のセッション数です。
セッション数とは、サイトに訪問したユーザー数を表します。つまり、1人のユーザーがサイト内をいくら巡回したとしても、セッション数は1としてカウントされることになります。
セッション数を把握することで、どのページを改善すべきかを洗い出すことができます。最初に開いたページでユーザーが離脱してしまう割合が直帰率として表されるのですが、「直帰率が高く、平均セッション時間が短い」ページがあるのであれば、ユーザーにとって価値のないページだと判断されている可能性が高いでしょう。
このように、セッション数は改善すべきページの洗い出しにも役立つ数値なので必ずチェックしておきましょう。
サイト内のページビュー数
Googleアナリティクスを見てみると、PV(ページビュー)と呼ばれる数字があるのがわかります。これは単純に表示回数を表す数値です。
たとえば、一定期間中に1人のユーザーが10ページ表示すれば10PVになり、10人のユーザーが1ページしか表示しなくても10PVになります。
PVは、そのページがどれだけ閲覧されたかを把握するための最も簡単な数値であるため、最も基準となる数値であるといっても過言ではないでしょう。
UU数(ユニークユーザー数)
UU数(ユニークユーザー数)は、一定期間中にサイトに訪れたユーザーの数を示すものです。
セッション数と同じように思われがちですが、UU数の場合は一定期間中に一度でも訪問すると、二度目以降はカウントされません。
つまり、一定期間中に、どのくらいのユーザーがサイトを訪問してくれたのかを正確に把握できるのです。その際に、新規ユーザーとリピーターの数も同時に把握しておくことで、現状として新規の集客に強いサイトなのか、それともリピーターの獲得に強いサイトなのかを判断できるでしょう。
シェア数
サイト立ち上げ当初は、各コンテンツが上位化されていないことが多いため、SNSによる拡散を利用してユーザーの流入を稼ぐのもひとつの手です。
そのため、コンテンツを投稿した際には、SNSでもコンテンツを投稿した旨を発信しつつ、SNSによるシェアを狙ってみてください。
ただし、実際どの程度拡散されたのかを正確に数値化することは非常に困難です。しかし、シェア数のひとつの指標として、Googleアナリティクスの参照元メディアなどを参照すれば大まかにではありますがSNSからの流入数を把握できるため、シェア数もおおよその検討をつけることができるでしょう。
コンテンツマーケティングのフェーズごとの効果測定の違い

現在の状況によって、実際に効果測定をするべきポイントが変わってきます。そこを間違えてしまうと正しいコンテンツマーケティングができないため、注意しなければいけません。
ここではフェーズごとの効果測定に関する違いを解説しますので、参考にしてみてください。
自社サイトの立ち上げフェーズ
コンテンツマーケティングで成果を出すには、効果測定は非常に重要です。しかし、コンテンツマーケティングの性質上、サイトの立ち上げ直後から効果測定を行うのは少し無理があります。
なぜなら、作成したコンテンツはすぐに検索エンジンから評価されることはなく、ある程度の期間を要するうえに、立ち上げ初期の段階では記事数がたまっていないので、正確な効果測定が困難であるためです。
そのため、自社サイトを立ち上げてからしばらくの間は、ひたすら良質なコンテンツを増やすことを重視し、インデックス数やコンテンツ数の数値を追っていくようにしましょう。
コンテンツが充実してきたフェーズ
ある程度コンテンツがたまってくると、少しずつ効果測定に必要なデータが集まってきます。早ければ数か月くらいで、少しずつその数字が見えてくるようになるでしょう。
そこでチェックしてほしいのが、どのコンテンツが最もアクセス数を稼いでいるかです。アクセスが多いコンテンツはSEOで上位表示されている可能性が高いため、今後もアクセスを集める核になることが予想されます。
逆に更新からしばらく経ってもまったくアクセス数が伸びないコンテンツは、残念ながら価値の低いコンテンツとして検索エンジンに認識されているかもしれません。もう一度リサーチをして検索意図に沿ったコンテンツへとリライトしていきましょう。
評価される記事の傾向が理解できてきたフェーズ
どのコンテンツが評価されているのか把握でき始めたら、なぜそれが伸びているのかを考えることが大切です。
ひとつのコンテンツに対して、アクセス数や滞在時間など、コンテンツを評価する指標は多々ありますが、一つひとつのデータにそれぞれ異なる要因が作用しています。
アクセス数であれば検索順位、滞在時間であればコンテンツの内容などです。これらの指標を分析し、なぜ評価されているのかを把握できたら、評価されていない記事と比較してみましょう。
評価されていない記事は、評価されている記事と比べて、必ずどこか劣っている箇所が存在するはずです。そこを把握し、何度も改善を繰り返していけば、いずれ成果につながるでしょう。
良質な記事の量産と過去コンテンツの改善フェーズ
ここまで来たら、後は検索エンジンやユーザーに喜ばれる良質なコンテンツを量産するだけです。もちろんそれに加えて、必要であればリライトを含めた改善を繰り返していくことになります。
とくにユーザーの評価は数値化できないものなので、コンテンツに対するさまざまな意見や感想をもらうことも重要でしょう。アナリティクスで把握できる数字に加えてユーザーの生の声も聞くことができれば、確実にサイト全体の品質向上につながります。
最終的な売上の向上を図るためにも、ユーザーからの生の評価は常に意識し続けなければいけません。
コンテンツマーケティングの効果測定で大切なポイント

コンテンツマーケティングでは定期的に効果測定を行わなければいけませんが、最低限押さえておくべきポイントがあります。
そのポイントを3つ紹介します。
効果測定だけで完了ではない
アナリティクスの数字を見ることは大切ですが、効果測定をするだけがすべてではありません。取得したデータを見て、どう活かすのかを常に考え、何度も改善を繰り返していくことが重要です。
もちろん改善を行うたびに、その改善結果を測定するのを忘れてはいけません。目標となる成果が表れるまでは、常にPDCAを回し続けることを意識しましょう。
コンテンツによって重要な目標値は異なる
一言でコンテンツといっても、各コンテンツはそれぞれ異なる役割を持つことになるでしょう。たとえば、「集客用のコンテンツ」や「CV用のコンテンツ」など、役割を分けて作っていくのが重要です。
集客用のコンテンツはとにかくアクセスを集め、そこからCV用のコンテンツに誘導することが役割のひとつとなります。そのため、目標となる数値はアクセス数です。
一方でCV用コンテンツとは、売上を発生させるためのCVポイントを設置した記事となります。つまり、ここに自社商品やサービスを利用してもらうための入り口を作っているのです。そのため、重要になる目標数値は、CV数やCV率となります。
このように、コンテンツによって注目すべき数値も変わってくるのです。
ツールを活用して効率を上げる
効果を測定するにあたって、積極的に導入してほしいのが専門の分析ツールです。これがないと、あらゆるデータを数値化して把握するのが難しくなってしまいます。
しかし、専門の分析ツールと聞くと、どうしてもコスト面で不安になる方もいるのではないでしょうか。分析ツールの中には無料で使えるものも多々あるので安心してください。
もちろん予算に余裕がある場合は、有料で使用できる分析ツールを契約するのもいいでしょう。有料である分、より正確かつ機能面の優れたツールを使用できる可能性があります。
最近ではお得に利用できるさまざまなプランを用意しているサービスもあるため、一度目を通してみてもいいかもしれません。
コンテンツマーケティングの効果測定を行う際の注意点

最後にコンテンツマーケティングにおける効果測定を行う際の注意点をまとめます。
間違った考え方や行動を取らないためにも、事前に確認しておきましょう。
コンテンツマーケティングに即効性はないことを理解する
コンテンツマーケティングに広告のような即効性は期待できません。
なぜなら、各工程においてそれぞれ相応の時間を要するためです。サイト立ち上げ初期においては、コンテンツの作成からインデックス、コンテンツの上位化といった流れが必要で、上位化するまでには早くて数週間、長くて数か月かかります。
そして上位化されている記事が複数ある状態になって、ようやく売上につながる結果になるため、コンテンツマーケティングの効果を実感するまでには長いと一年以上かかってしまうことも少なくありません。
しかし、一度作成した記事は、今後も自動的に売上を生み出してくれる、会社にとって大切な資産となっていきます。そのため、時間をかけてでもやる価値があると判断する会社が多いのです。
長期スパンでじっくり臨むことになるのがコンテンツマーケティングであることを、あらためて認識しておきましょう。また、その長期間問題なく対応できる人材のリソースがあるかも確認し、なければ人材の確保も検討することが大切です。
顧客獲得の段階を理解する
コンテンツマーケティングはいきなり顧客獲得を実現できるわけではないので、まずは段階を踏んでいかなければいけません。
コンテンツマーケティングは、まずアクセス数を稼ぐための集客フェーズがあります。ここではコンテンツの量産と上位化を目指さなければいけないため、この段階では顧客の獲得を意識する必要はないでしょう。
ある程度コンテンツ数が確保でき、アクセス数が伸びてきたところで、初めて顧客獲得を意識し始めます。その際に重要なのが、ユーザーを意識した動線計画とCVポイントの設置です。
この動線計画とCVポイントの設置が中途半端になっていると、いくら集客ができていたとしても、そのユーザーは顧客になることなく離脱してしまい、機会損失をまねきます。
顧客獲得段階を理解したうえで、自社のサイトは今どの段階であるのかを正確に把握しましょう。そうすることで、適切なタイミングでの顧客獲得施策を実施でき、機会損失を防げるのです。
正しく効果測定をしてコンテンツマーケティングを成功させよう

今回はコンテンツマーケティングにおける、効果測定の重要性を紹介しました。コンテンツを量産することもたしかに大切ですが、あくまでも戦略的に改善をし続けなければいい結果は出ません。
そのためには効果測定を行わなければいけないので、コンテンツを更新するだけではなく、各コンテンツのアナリティクスデータも常に意識していきましょう。
そして売上に貢献しないコンテンツが見つかった時は、そのまま放置せずに必ず改善してください。
競合のコンテンツを参考にしたり、直接ユーザーの声を聞いたりすれば、コンテンツマーケティングを成功に導くことができるでしょう。